Vol.29制作キーワード: トンボ 畜光印刷 スクラッチ印刷 液晶印刷

~印刷物にまつわる素朴な疑問~

身の回りにある印刷物の不思議。
それはムダを省く意識と、便利を追求する努力のカタチなのです。

どうしてチラシや雑誌などの印刷物は同じサイズのものが多いのだろう?
紙パックから水が漏れないのは何故? 今回は、暮らしの中にある印刷物の疑問について紹介します。

(※この記事は作成された当時の文章をそのまま掲載しております。)

色校正を見る際、皆さんも“トンボ”と呼ばれるマークを目にしたことがあると思います。

この“トンボ”、多色印刷の際に見当を合わせる目印になり、さらに印刷の仕上がり線で断裁するための基準線として、なくてはならないものです。

ところでその断裁の時に裁ち落とされた紙くずの行方をご存知ですか。
実はきちんと古紙回収業者により回収され、製紙メーカーで再生紙としてリサイクルされています。

とはいえ、環境のことを考えるとできるだけ紙のムダ遣いは避けたいもの。

印刷物の仕上がり寸法を統一することで、このムダを減らすことができるのです。

たとえば、A4サイズの印刷物なら A全判の用紙から8つ取ることができます。
B5サイズなら B判の用紙を使うことで効率良く印刷することができます。

しかし変形サイズの印刷物の場合、かなり大きな断裁くずが出ることもあり、印刷時の用紙配置や印刷物のサイズに工夫が必要になります。

現在、全国には約3万の印刷会社があり、印刷業向けの紙の出荷量は年間約500万トン弱。

おもしろい仕掛けを施したり、インパクトを与えたり、変形サイズの印刷物には利点がたくさんあります。

そのことをふまえ、効率的な印刷サイズを検討してみてはいかがでしょうか。

この少しの意識の変化が、紙のムダな消費を大きく抑えることにつながるかもしれません。

印刷用紙の断裁くずと並んで、資源として有用なものに紙パックがあります。

リサイクルにおいて、紙パックには専用のマークがあるほどの定番製品。約10枚でティッシュペーパー1箱分の原料になるのです。

そもそも紙パックの登場は、昭和30年代後半。
牛乳びんに代わる容器として登場した、三角型の牛乳紙パックが最初だと言われています。

その後、軽くて安い便利な使い捨て容器として普及し、現在では牛乳だけでなく、ジュース、日本酒などの飲料品から洗剤やカーワックスなどさまざまなシーンで活用されています。

さて、水に弱いはずの紙容器が水漏れしないのは何故でしょうか。
使用する紙は丈夫なものでなければ、容器の形態を保持し、中味の漏出を防ぐことはできません。

そこでエゾマツなどの針葉樹のパルプを使用し、紙の両面にポリエチレンなどのプラスティックフィルムを何層にもラミネートします。
底や口の部分は高温でプラスティックを溶かし、圧力をかけて貼りあわせます。

このように、丈夫な紙とプラスティックフィルムの保護により、紙パックは水漏れしないようになっているのです。

しかしながら、日本酒やウイスキーのようなアルコール飲料は浸透性が高く、牛乳などと同じ容器では内溶液がにじみ出てしまいます。

そのためラミネートをさらに何層も重ね、紙の断裁面をアルコールに触れないよう折り込むといった技術が必要でした。

こうしてでき上がった容器は一升びんなどと比べ、日本酒が嫌う光を通さないといった保存性にも優れた力を発揮。
内溶液に合わせ、加工技術も発展してきたのです。

紙パックによって流通形態や暮らしに変化をもたらした印刷・製紙会社の技術力。

他にもインキが太陽や蛍光灯の光を蓄えて、暗闇で発光する「畜光印刷」や(この技術はカードやノベルティによく使われています)、
銀色の特殊インキを削ると隠れた印刷が現れる「スクラッチ印刷」は、宝くじでも有名。
また温度によって色が変化する「液晶印刷」は、紙の温度計として利用されています。

このように私たちの暮らしは不思議で高度な印刷技術に囲まれています。

まだまだ豊富な印刷の不思議や疑問。その謎はすべて必要や便利が活かされたカタチなのです。

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