Vol.24印刷キーワード: グーテンベルク 凸版印刷 百万塔陀羅尼経 金属活字 印刷機 四十二行聖書

世界を変えた発明。

「四十二行聖書」。
この一冊の書物によって、世界が近代化へと歩み始めました。

コミュニケーション・メディアの中心として、日々の生活に欠かせない印刷物。
今回は印刷の父と呼ばれる、ヨハネス・グーテンベルクについてご紹介します。

印刷の父と呼ばれているグーテンベルクですが、実は印刷自体は中国が発祥の地なのです。

西暦105年、蔡倫(さいりん)によって紙が発明されると、印を捺す習慣が広がっていきます。

印には色をつけたくない部分を彫り、凸状にするという版画の技術が使われており、ここから印刷が始まったとされています。

版の凹凸の凸面にインキをつけて印刷する方法を「凸版印刷」といいます。

6世紀から7世紀ごろになると、版の作成には木が使われるようになり、木版が一般的になってきます。
このころ日本にも、仏教の教えとともに印刷技術が入ってきました。

現在、世界で一番古い印刷物は日本の「百万塔陀羅尼経」と言われています。

では、グーテンベルクは何をしたのでしょうか。

厳密に定義すれば、西洋における金属活字印刷機による印刷術の発明ということになります。

1397年ごろ、ドイツのマインツで生まれたグーテンベルクは、ストラスブールで印刷の原理となる技術を学びます。

その後、彼は市民の間で聖書の需要が高まっていることを感じ、故郷にもどり印刷機の発明に取り掛かったのです。

印刷機を完成させるためには印刷の際に、機械で均等に大きな圧力を加えることが必要。
そこで彼は、ぶどう搾り機をヒントにした、最初の印刷機を作り上げます。

そして、鉛にスズ、アンチモンを混ぜ合わせた可動式の丈夫な金属活字を作成。
これにススを油で練った金属になじみやすい油性インクを使用することで、彼の印刷術は完成しました。

木版印刷では1枚の木版に文章を彫って印刷していたため、文字の入れ替えができるグーテンベルクの印刷は画期的なものでした。

こうして1455年、グーテンベルクは「四十二行聖書」を刷り上げることに成功しました。

その後、わずか50年程の間にヨーロッパ中で1,000以上の印刷所ができ、約30,000種、推定900万冊の本が発行されたと言われています。

印刷技術の広がりにより、市民にも聖書が普及。
こうした時代の動きが、ルターの宗教改革につながっていったのです。

「四十二行聖書」は近代的な印刷の出発点であり、近代社会誕生の象徴でもあるのです。

一方、世界を変えるほどの発明を成し遂げたグーテンベルクですが、印刷機を完成させるまでに多額の借金を重ねていたため、資金提供者たちに機材を差し押さえられてしまいます。

その後、パトロンからの施しを頼りに細々と暮らすという、不遇な後年を送りました。

長らくグーテンベルクの印刷術が隆盛を極めますが、産業革命以降、様々な印刷機が登場します。

蒸気機関で駆動する「円圧印刷機」、「ストップシリンダ印刷機」や「2回転印刷機」などが開発されたのち、「平版輪転印刷機」が誕生します。

20世紀に入ると印刷機は高速化、高品質化、自動化へ向けて急速な進化を遂げます。

また、衰退していく凸版印刷に変わって、オフセット印刷が発展。
さらには新たな印刷革命とも言えるDTP、CTP、オンデマンド印刷機といったデジタル化の波は、多くの可能性を示しています。

コミュニケーション・メディアの柱として、印刷はこれからもより高品位に、より便利に進歩していくことでしょう。

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