Vol.17印刷キーワード: ホットメルト ホットメルト接着剤

「美しい再生紙」のために。

循環型社会を構成するピースのひとつ、再生紙。すでに定着した感がありますが、質の高い再生紙を作りあげるまでには、地道な努力があったのです。

本を作るときに使われる、無公害で省エネルギー型の接着剤。それが「ホットメルト」です。
自動車や電子部品にも使われ、近年ますますその地位を高めています。
しかし、紙の再利用においては解決すべき問題もありました。

再生紙や大豆油インキなど、印刷業界における環境問題への対応事例を、これまでいくつかご紹介してきました。

特に再生紙については世間の関心も高く、多くのメディアで注目されています。

実は、新聞紙や板紙(段ボールやティッシュの箱etc.)など限られた分野では、以前から古紙の再利用は行われていたのです。

しかし雑誌、一般書籍、カタログなど、人目を引く印刷物への利用において遅れをとっていたため、印刷物への古紙の再利用については、あまり進んでいないというイメージがあったようです。

新聞紙や板紙に比べて、雑誌などは見た目を重視するため、白くきれいな紙が求められます。
これまで再生紙は、色が黒ずんでいたり、点々と汚れが目立ったりする等の理由から、新聞紙や板紙への利用が限度でした。
美しさを求める場合、どうしても再生紙を避けてしまう傾向があったのです。

古紙の再利用率を高めるためには、一般的な印刷物への利用を進める必要がありました。

再生紙の品質を落としてしまう要因として、異物の混入が挙げられます。
その中でも厄介なものが「ホットメルト接着剤」。

ホットメルトとは製本を行う際に、表紙と本文を固定する接着剤で、加熱することで液状になり、冷却すると元の個体に戻るという特徴があります。ページ数が多く、背が平らな製本に使用されます。
例えば取扱説明書や書籍、住宅や中古車の情報誌などを思い浮かべてもらえば分かりやすいと思います。

この接着剤は、比較的安価で迅速な接着力を持ち、環境に有害な溶剤を含まないため広く使われています。

しかし、再生紙を作る工程でホットメルトの細かいくずが混入すると、できあがった紙に斑点や汚れとなって残ってしまい、再生された紙の質は著しく低下 します。

これではいくら再生比率の高い再生紙を使い、環境対応インキで印刷した印刷物でも、後々の工程に「汚点」を残すことになります。

環境に対応した理想的なホットメルトとは、「古紙の再生工程で植物繊維からきれいに剥がれ、ホットメルト自身の粘着力で集合・球状化し、除塵スクリーンによって簡単に除去できるもの」と言えるでしょう。

製紙・印刷・製本業者の求めに応じ、石油化学メーカーでは、古紙再生の障害にならない接着剤の開発に乗り出しました。

そして、古紙処理施設除塵工程で、フィルターで除去され、パルプに混入しないように改良された「難細裂化改良EVA」(細かくなりにくい、エチレン・酢酸ビニ ル共重合樹脂)が開発され、実用化されるようになったのです。

業界を越えた取り組みが行われ、古紙再生の世界は一歩前進しました。

一般の人の関心も薄い地味な世界ですが、リサイクルの大きな輪の中で欠かすことのできない部分。

もちろん、当社でも環境対応型ホットメルトを採用し、再生に支障が出ないよう地味ながら努力しています。

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