Vol.37印刷キーワード: 非木材紙 ケナフ バガス

古くて新しい、非木材紙。

ケナフとバガス。それは森林保護の注目株。

印刷物は突き詰めれば紙とインキです。前回、環境対応型のインキついてご紹介しましたが、今回のテーマは紙。
資源保護と環境への影響から現在、原料を木に頼らない「非木材紙」が注目を集めています。

「紙は草から作られる」と言うと、多くの方が首をかしげるかもしれません。
「紙の原料は木ではないのか」と。

その通り、現在流通するほとんどの紙は木材から作られています。

しかし、和紙などを思い浮かべていただけばわかるように、繊維のある植物であれば紙を作ることは可能なのです。

そこで木材を使わない非木材紙は、再生紙と並んで森林資源保護の有効な手段として期待されています。

そもそも紙のルーツは木材ではありません。

紀元前3000年頃に、エジプトでパピルス草の繊維を用いて作られた「パピルス」が紙のはじまり。

その後、中国で漢の時代に、麻を主原料にした紙が発明されます。
以後も竹やわら、楮(こうぞ)などが紙の主要な原料であった時代が長く続きます。

木材紙の誕生は19世紀中頃。
ドイツのケラーが開発した砕木機によって、木材から繊維(パルプ)を大量に取れるようになったことが契機です。

ここから木材パルプを使用した、製紙工業の時代が始まったのです。

ハイビスカスやさとうきびなど、非木材紙の原料に使われるのは、環境優等生の植物たちです。

非木材紙原料の中でも、木材に代わる資源として有望なものに、ケナフバガスがあります。

ケナフはすでに紙ナプキンなどに使用されており、ご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

これは、東南アジアやアフリカなどで栽培されるアオイ科ハイビスカス属の植物。

半年程度で収穫できるまでに成長することから、安定供給が可能な製紙原料として期待されています。

ケナフで作られた紙は独特の風合いを持ち、肌触り、柔らかさが秀逸。

また栽培中には地球温暖化の原因でもあるCO²の吸収力が高いなど、環境面でも優れていると言えます。

一方、あまり耳慣れない言葉、バガス

これは、さとうきびを搾った残りかすのこと。
今まで捨てられていた、搾りかすの堅い部分を有効利用しようというものです。

さとうきびは年ごとに収穫されるので、運送・回収コストがかからず加工が効率的。
その上、木材パルプより低温度・短時間、少量の薬品で紙にすることができるので、製造工程でも環境への影響を低く抑えることができるのです。

バガスで作られた紙はしっかりした質感のため、落ち着いた上質な雰囲気を感じさせます。

原料の種類と特長

天然植物繊維 竹  葦  エスパルト  海藻
農産廃棄繊維 さとうきび(バガス)  麦わら・稲わら  パーム椰子  バナナ
栽培植物繊維 ケナフ  アバカ  コットン  楮(こうぞ)

… 繊維が長く美しい仕上がり。中国やインドで広く使われています。
… 古くから親しまれ、東欧やアジアの一部の国で利用されています。
エスパルト… 固くて強い草。北アフリカや南スペインを主成育地としています。
海藻… 海草も製紙原料になるのです。収穫する時期によって、紙の風合いが違ってきます。
さとうきび(バガス)… アジア、南米で多く収穫されます。糖汁を搾った残りかすを使います。
麦わら・稲わら… 非木材パルプの中で最も多いのはわら。古くは日本でも使われていました。
パーム椰子… 食用や石鹸で使われるパーム油の原料です。その際捨てられる房が、紙資源に生まれ変わります。
バナナ… 収穫後の幹のパルプを利用。うっすらと黄色い紙になります。
ケナフ… 主にロープなどに使われてきた植物。成長の早さから、紙資源として期待されています。
アバカ… もとはロープや衣服の原料。繊維が強いことから紙幣用紙としても使用されています。
コットン… 木綿布を原料とするもの。綿の紡績と、綿織物のくずから紙を作ります。
楮(こうぞ)… 手すき和紙の原料として利用されてきました。温かい風合いが特徴です。

これまで私たちはあらゆる印刷物を通じて、紙=森林の恩恵を受けてきました。

しかし最近では環境報告書やアニュアルレポートなどの用紙に、非木材紙を採用する企業が増えています。

紙の起源である非木材紙には、森林の将来を守る上でいま一度重要な役目を担ってもらわなくてはなりません。

ケナフ、バガス、そしてここにご紹介した古くて新しい製紙原料を、ぜひ憶えておいていただければと思います。

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