Vol.11制作キーワード: ビットマップフォント アウトラインフォント PSフォント ポストスクリプト

DTP躍進の立役者、PSフォント。

文字の美しさを数式化したDTP躍進の立役者、PSフォント。

前回は、DTPの文字表現を豊かにしたものがPSフォントであることを紹介しました。
文字の拡大や縮小がなぜ可能になったのか。今回は、その技術的背景についてご紹介します。

パソコンユーザならよくご存知の通り、ワードやパワーポイントなどのソフトで、文字の大きさを変えることは簡単です。

フォントの数値を入力したり選択するだけで、画面に表示される文字はもちろん、プリンターで出力される文字の大きさも自由に調整できます。

いまでこそ当たり前ですが、それはDTPの黎明期では考えられないことでした。

そもそもDTPにおけるフォントには、大まかに分けて2種類の仕組みがあります。

ひとつはビットマップフォント(ビットマップとは点の集合体の意味)、
そしてもうひとつはアウトラインフォント(アウトラインとは輪郭線の意味)と呼ばれるものです。

DTPが誕生した当初、フォントといえばビットマップフォントのことでした。

しかし、無数の小さな点で文字の形を作るビットマップフォントには、その性質上、無理に拡大するとひとつひとつの点がそのまま大きくなってしまうという欠点があったのです。

文字の輪郭がギザギザになり印刷物には使えなくなる。
そのため、予め何段階かの大きさのフォントを用意しておくという方法でしか、文字の大きさを調整することができませんでした。

このビットマップフォントの弱点を一掃したのがアウトラインフォントでした。

数式情報で文字を形成する新しい方式の登場によって、文字の大きさの設定や変形は自由に行えるようになりました。

ビットマップフォントとアウトラインフォント

現在の主流となったアウトラインフォント、その代表がPSフォントなのです。

PSフォントのPSとは「ポストスクリプト(PostScript)」の略で、これはAdobe社が開発したページ記述言語。

印刷物の要素である文字や図形、画像などをまとめあげるプログラムの一種です。

PSフォントの文字形成のしくみをもう少し具体的に説明すると、文字の「カタチ」の情報を座標(位置の情報)と3次曲線(線の情報)の2つに分解して処理するというのが技術的基盤になっています。
任意の大きさが指定されると、まず座標の「距離」がはじき出され、次にそれらを結ぶ線が輪郭を描くことで、文字は「大きさ」の概念を持つことができるというわけです。

それは、DTPの課題であった文字の拡大・縮小の制約からユーザを開放する画期的な技術でした。

私たちが使う日本語は、芸術性さえも求められる世界でも希有な文字です。

もしPSフォントの登場がなければ、たとえば「はね」や「はらい」のような日本語独特の美しさがモニター上や印刷物に再現されることはなかったのかもしれません。

そして、今日のDTPの繁栄もおそらくなかったことでしょう。

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