Vol.12


キーワード: PostScript ポストスクリプト PSプリンタ

DTPもCTPも可能にしたのはポストスクリプト。
PostScript、それは単なる技術を超えて、創造力の源泉になった。
P.S. I Love You. それはすべてのデジタル表現者たちのメッセージ。
「PS(ポストスクリプト)」の誕生がなければ今日の印刷業界はまったく違う形になっていたはず。
これまでご紹介してきたDTPもCTPもポストスクリプトがあればこその技術です。
前回のPSフォントに引き続いてポストスクリプトのお話しを今回も。

冒頭から話がそれて恐縮ですが、「追伸」を意味する英語「P.S.」が、
PostScript(ポストスクリプト)の略なのはご存知だったでしょうか。


他にも後書き、後述という意味のあるポストスクリプトですが、
デジタル分野では1985年に発表された革命的技術の名称として知られています。


アドビシステムズ社がリリースしたポストスクリプト(以下PS)は、
プログラミング言語のひとつで、ページ記述言語と呼ばれます。


特徴はベジェという3次曲線を使って、文字や図形、画像などの要素を描き出し、ページ上の位置情報までを指定できること。
…というと難解ですが、要するにページ上に配置されたすべての要素がアウトライン(輪郭線)で描かれ、
要素の置き場所も自由に指定できるということです。


例えば一昔前のワープロを思い出してみてください。


文字のポイントを大きくすれば、ひとつひとつのドットも大きくなりカクカクした文字になってしまう。
斜線や円を描いても、短い直線が連続した線でしか表現できない。
図形や写真の配置も指定された機能の範囲内でしか不可能。


この不満を払拭し、劇的に美しい描画と出力を実現したのがPSです。


自由曲線も自在に描け、拡大縮小・変形回転も思いのままのPSが、複雑な形状を持つ日本語の文字を美しく表現し、
ほとんど無制限のデザインを可能にしました。


しかしせっかくPSで作られたデータも、その美しさを紙の上に写すためには、相応の出力機を用いなければなりません。


すなわちPSプリンタです。


パソコンからプリンタに送られるのはPS言語で書かれたプログラム。
プリンタ側では受け取ったプログラムを画像に展開して出力します。


ワープロでは出力をかけると即座にプリンタヘッドがカタカタと動き出しましたが、
PSの場合は先にデータを一気に送り、プリンタ内で1ページ分のイメージを展開してから出力しますので、
伝送速度が迅速で、パソコン、プリンタともにかかる負荷が小さくなります。

もちろん機器の性能にも依存しますが、PSで描いた大量のテキストや複雑な図形、
画像を使ってデザインされたデータでも、快適にアウトプットすることができるのです。


かつてご紹介したDTPやCTPは、このプリンタをフィルム出力機やプレートセッター(刷版作成機)に置き換えたということ。


PSが実現したのは印刷工程のデジタル化(による高速化と省力化)ですが、それとともに印刷物に、
コンピュータを駆使した自由な、無限のイメージを描くことも実現した、創造性という点でも画期的な技術だったのです。


P.S.新しい印刷物の案が浮かんだら、ぜひご相談を。
イメージを広げるお手伝い、させていただきます。

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