Vol.114印刷キーワード: スリップ 取次制度 再販制度 委託販売制度

書店にはボウズがいる!?

書店以外では見かけないけれど、出版業界には欠かせない「ボウズ」。

他の業界と比べると、少し特殊な出版物の流通システム。

独自の流通を支えているのが「取次制度」「再販制度」「委託販売制度」という3 つの制度です。

今回は、これらの制度と、出版流通には欠かせない「スリップ」についてご紹介します。

書店にはボウズがいる!?

〈カタログ・パンフ等の穴あけ加工〉

書店に並ぶ本を手にとってみると、半円形の切り込みが入った二つ折りの紙が挟み込まれています。

この紙の正式名称は「スリップ」。他にも「短冊」とか、切り込み部分が丸いため「ボウズ」と呼ぶ場合もあります。では、スリップは何のために本に挟み込まれているのでしょうか。

主には売上の集計、書籍の追加注文、販売報奨金の請求に使われています。

現在ではPOSシステムを利用するケースも増えていますが、まだまだスリップを活用している書店も少なくありません。ところで、書店以外でスリップを見たことはないと思います。

実はこのスリップ、出版業界特有の流通システムに起因するものなのです。

出版物の流通は「取次制度」「再販制度」「委託販売制度」という3つの仕組みで成り立っています。まだコンピュータが一般的でない時代に、その特徴的な流通に対応できるように考え出されたのがスリップというわけです。それでは、この3つの流通の仕組みについて簡単にご紹介しましょう。

〈取次制度〉 〈再販制度(再販売価格維持制度)〉 〈委託販売制度〉
取次とは、出版社と書店の間を文字通り「取り次ぐ」流通会社を指します。取次は書店からの仕入れ注文を出版社に伝えたり、出版社から受け取った本を各書店に納品(配本)するなど、出版数量をうまく割り振りして効率よく本が売れるように調整することが主な役割です。この取次を介した流通システムを取次制度と呼んでいます。膨大な数の出版社、書店が個別に取引を行うのは非常に手間がかかるため、日本の出版流通は取次主導の体制になっているのです。二大取次業者の日販、トーハンという名前は、聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。 家電や日用品など、多くの商品は店舗によって販売価格が違います。そして値引き販売も一般的です。しかし書籍は出版社直売のブックフェア等の例外を除いて、値引き販売はされていません。どこの書店でも、また出版日からどれだけ時間が経過していても定価で販売されています。なぜなら書籍には再販制度が適用されているからです。これは書店側で小売価格の変更ができず、常に定価で販売する制度のこと。なぜ出版業界でこの制度が適用されているかというと、販売量が少なく流通経費もかかる地方では都会より販売価格が高くなりがち、大手の値引き攻勢で弱小出版社の本が売れなくなる、というような不公平をなくすためです。書籍の他に新聞やCDなどの音楽ソフトも同様に扱われています。 書店に並んでいるほとんどの書籍は、出版社から預かって販売されています。これを委託販売制度と言い、売れ残って一定期間の過ぎた本は返品(返本)することが可能です。月刊誌など新しい号が発売されると古い号は返本されます。売れない本に「返本の山」という表現を使っているのを聞いたことがあるかもしれません。もちろんすべての本が委託販売されているわけではなく、書店が買い上げて販売する書籍もあります。その場合、スリップの色を変えて区別することもあります。

このように出版業界は、一般的な商品の流通とは異なる制度で成り立っています。こうした視点で書店をのぞいてみるのも、おもしろいかもしれません。

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