Vol.89制作キーワード: RIP ベクターデータ ラスターデータ

印刷前にRIP処理

役目は印刷用言語への翻訳。DTPの通訳、それがRIPです。

各種アプリケーションで作成されたデジタルデータ。もちろん、そのままでは印刷できません。印刷に適した形に変換する必要があります。
この変換処理を行うこと、それがRIPの役割です。

各種アプリケーションで作成されたデジタルデータ。
もちろん、そのままでは印刷できません。印刷に適した形に変換する作業が必要です。

この変換処理を行うこと、それがRIP(リップ)の役割です。

印刷では、DTPソフトで作成されたデータから、カンプのプリント、印刷用の版の出力が行われます。

しかし、単にデータをプリンタやイメージセッタに送っただけでは、出力はできません。
なぜなら、PCで作成されたアプリケーションのデータ(ベクターデータ)を、出力機器が理解できないからです。

そこで、出力機器が読み取れるデータ(ラスターデータ)に、変換処理を行う必要があります。

まるでデータの翻訳のような、この作業を行うのがRIP(Raster Image Processor)です。

ベクターデータは、曲線がなめらかに表現されているのに対し、
ラスターデータはドットの集合なので、拡大すると輪郭にジャギー(階段状のギザギザのこと)が見えてしまいます。
その反面、写真画像の微細な色表現には適しています。

ジャギーのあるラスターデータとなめらかなベクターデータの比較

なお、ベクターデータから、出力機器の解像度に応じたラスターデータの生成を行うことをラスタライズと言います。

RIPは大別するとハードウェアRIPソフトウェアRIPに分かれます。

ハードウェアRIPとは、専用のハードウェアでRIP処理を行う仕組みです。

専用のハードウェアは、RIP処理を行うソフトとメモリ、各種フォントなどから構成され、出力機器に直接搭載されることが一般的。
RIP処理を専門とする機器なので、高速処理が期待できます。

一方、ソフトウェアRIPとは、専用のハードウェアを利用せず、WindowsやMacintoshといったパソコンのCPUを利用してRIP処理を行うものです。

こちらはPCの能力に依存するため、演算能力の高いPCにインストールすることで、処理速度を高めることが可能です。
またソフトウェアのバージョンアップが容易という利点もあります。

RIPが登場した頃は、データの変換に膨大な負荷がかかるため、処理の高速なハードウェアRIPが多く利用されていました。

しかし、近年の急速なコンピュータの発展により、専用ハードウェアは短期間のうちに陳腐化する傾向にあります。

数年ごとに高額な専用機器を導入するのは、コストの面で非現実的。
現在ではPCの処理能力が飛躍的に向上したこともあり、ソフトウェアRIPが主流となっています。

今日、RIPはデータのラスタライズだけでなく、RGBからCMYKへの変換、入稿データのチェック、見当ズレを最小限に抑えるためのトラッピング、さらにネットワークによる進捗状況の管理など、多機能化が進んでいます。

このように、多様な役割を担うRIPはワークフローRIPと呼ばれ、
トレンドの技術として注目を集めています。

さらなる品質の向上や効率化をめざして、印刷業界もまた、日々発展を続けています。

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