Vol.83印刷キーワード: 耐光性

インキのしくみと弱点

印刷のインキにも弱点があります。知っておきたいインキの特性。

4種類で、世の中のほとんどの色を再現するCMYKインキ。一概にCMYKといっても、それぞれの性格は違います。普段あまり注目されることがないインキですが、その特性をつかむことも、より良い印刷物づくりには欠かせないことなのです。

モニタ画面で見るDTPデータの「色」を、最終的に紙に再現する色材が印刷インキです。
正しい印刷物の設計には、インキの知識が不可欠になります。

インキの主な成分は、顔料とワニス。

顔料は色を決める成分で、水や油などには溶けません。
ワニスはインキに流動性を与え、印刷機から紙へインキを転移し、その後乾燥して色を定着させます。

オフセット枚葉印刷機では、1秒間に3~4枚の速度で印刷された紙が、次々に積み重ねられます。
この際、インキ皮膜が上に積まれた紙の裏を汚さないよう、インキは紙の中に急速に浸透していきます。
その後インキ皮膜が乾き、さらに数時間以上をかけて、インキ中の油分が酸化し、完全に乾燥します。こうした特性により、裏付きを防止します。

カラー印刷では、通常、C(シアン/藍)M(マゼンタ/紅)Y(イエロー/黄)K(ブラック/墨)の4色からなるプロセスインキを使用します。

このプロセスインキのCMYは、透明インキなので重ね刷りをすると下色と混色して発色。さまざまな色合いを再現します。
どの色から印刷しても大きく発色が異なることはありませんが、インキの転移性を考慮してK→C→M→Yの順で刷ることが一般的です。

インキは、CMYKそれぞれの耐光性に違いがあります。

CとKは耐光性が強く、YとMは耐光性が弱くなっています。
YやMは、10日ほど太陽光にさらされただけで退色してきます。
したがって野外ポスターやパッケージなどを制作する時は、超耐光性インキを使う、表面加工を施すなどの工夫が必要です。

また色相に関しては、分光反射率(下の画像を参照)Yインキはほぼ理想的。
しかしMとCインキは、理想的なカーブとはかけ離れています。

○プロセスインキの分光反射率(点線:理想、実線:実際)

これはインキの顔料が持つ欠陥で、修正はできません。つまりMやCインキを含む彩度の高い緑や紫、オレンジの色相は、忠実な再現は難しいと言えます。

より良い印刷物づくりには、こうしたインキの特性を考慮することも重要になってきます。

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