Vol.49印刷キーワード: 上製本 並製本

製本に注目の巻。

強くてキレイが理想です。印刷の最終工程、製本。

製本とは、印刷した紙を折って綴じ合わせ、本の状態に仕上げること。でも、その方法はさまざまです。
代表的な「綴(と)じ方」を紹介し、製本の世界に迫ってみたいと思います。

日頃、何気なく手にしている雑誌やカタログ、パンフレット…。
デザインや写真の色味には注目しても、「綴(と)じ方」について意識することは少ないと思います。

そこで今回は、製本についての興味深いお話を。

そのはじまりは、巻物でした。
紀元前30世紀頃のエジプトでは、継ぎ合わせたパピルス草の両端に軸をつけ、丸めて円筒におさめていたようです。
この巻物こそ、世界で最初に製本された書物という訳です。

その後、ヨーロッパでは、羊皮紙を革紐で綴じたものが登場。
グーテンベルクの印刷革命を経て、表紙をビロード素材にしたり、箔押しするなど、特殊な施しがなされるようになります。

こうして製本が、職人的技術として発展していきます。

一方日本では、書写の末尾に軸をつけた巻子本(かんすばん)が長らく使われていました。

しかし巻物形式では、部分的に読みたい場合も、全部広げなければならず不便です。
そこで、巻かずに折りたためる、折本が登場します。

平安時代になると、折本の欠点(何度も使っていると折り目がすり切れてしまう)を解消した和綴じ本が出現し、日本独自の発展を遂げていきます。

文明開化以降は、西欧文化とともに洋本式製本が普及。
現在、製本と言えば洋本式のことを指すほど一般化しています。

この一般的な製本として、上製本並製本があります。

上製本とは、表紙と本文を別々に製作し、後工程で接着する作り方をした本のことです。

表紙材や装丁の自由度が高く、表紙が本文より一回り大きいため、開きやすく読みやすい本作りが可能。

上製本は高級感があり、優れた耐久性が特長です。
かつての編集者たちは、ページをひっぱるなどして、出来上がった書籍の強度を確かめたという話も。

次に並製本ですが、これは表紙も中身も同時に製本し、三方裁ちで仕上げる方法。

主な綴じ方として、以下の4つがあります。

無線綴じ

○製本断面図
無線綴じの製本断面図
(用途例:コミック誌・文庫本・写真集・雑誌)

本文の背を裁ち落し、糊で固めます。表紙も背の糊で固定。手軽で、スピーディですが、耐久性にはやや難があります。

網代(あじろ)綴じ

○製本断面図
網代(あじろ)綴じの製本断面図
(用途例:一般書籍・文庫本・辞書)

背の部分に切れ込みを入れて糊で固定し、表紙を貼り付ける方法。
背をすべて裁ち落とさないことで、無線綴じより接着力がアップします。

中綴じ

○製本断面図
中綴じの製本断面図
(用途例:週刊誌・パンフレット・小冊子)

表紙と中身を重ねて、折り目の部分を針金で綴じる製本です。
週刊誌などでよく利用され、あまり手間がかからない方法。
ただし本が厚くなるほど、中心ページの仕上がり幅が小さくなるので注意が必要です。

平綴じ

○製本断面図
平綴じの製本断面図
(用途例:教科書・報告書)

丁合(ちょうあい)した刷本の背から5mmほどの位置に針金で一括して綴じ、表紙を糊付けする方法。丈夫な作りですが、のど部分まで開かないので、扱いにくい場合もあります。

ライン化、コンピュータ管理、乱丁や落丁に対する厳重なチェック、多品種・小ロット化への対応など、製本工程もより高品質へと日々発展しています。

これまで、注目されることが少なかった製本ですが、その世界を知ることで、より効果的な印刷物づくりにつながるかもしれません。

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