Vol.20印刷キーワード: グリーン・プラスチック 生分解性プラスチック

「進化したプラスチック」の役割。

発想の転換による汚点の克服。環境問題を前にして、私たちはそのような価値観の変化を、いくつも体験してきました。 そしてまた、常識を覆すようなプラスチックが登場したのです。

「腐る」。言葉として、良いイメージはありませんが、環境にとっては大切なこと。
その耐久性がリサイクルの障害となっていたプラスチックも、土に還る素材により解決への糸口を見つけました。

グリーン・プラスチック」。
名前からして環境に優しそうですが、これは微生物の分解により腐り、やがては自然に帰ることのできるプラスチックのことです。

環境問題が取りざたされるようになった昨今、プラスチックはリサイクルの弊害と考えられています。

その問題を克服できる新素材として、グリーン・プラスチックは注目を集めているのです。

ちなみに、この名前は一般公募による愛称。
正式名称は、「生分解性プラスチック」といいます。

そもそもプラスチックは、安価で、加工しやすく、腐らないという利点から多種多様な製品に使用されるようになりました。

しかし、プラスチック製品を処分しようとすると、利点のひとつだった「腐らない」ことが仇となり、埋め立てや、リサイクルにおいて大きな障害となっていたのです。

ダイオキシンの発生を考えると安易に焼却もできないため、今度は「腐る」プラスチックの開発の必要性に迫られました。

便利なプラスチックは使い続けたい、でも環境も大事。
このような思いが、開発の原動力になったのかもしれません。

ジャガイモやトウモロコシのでんぷんから採れる乳酸を原料に、グリーン・プラスチックは作られます。
すでに通常のプラスチックと肩を並べるほどのクオリティを実現できるようになりました。

自然の成分が原料となっているため、分解されると水と二酸化炭素になります。

しかし、ここで発生する二酸化炭素は本来、植物由来のもので地球上の循環に含まれているもの。

有限である石油を使わずに、環境に優しいプラスチックができてしまうなんて夢のような話ですが、まだ割高な価格帯が唯一の欠点と言えるでしょう。

もちろん、印刷業界においてもグリーン・プラスチックの出現は、歓迎すべきことのひとつです。

例えば、印刷物へのPP貼り(ポリプロピレンやポリエステルフィルムに接着剤を塗布し、印刷物の表面に圧着加工する加工方法)は、リサイクルに向かないと言われています。

しかし、グリーン・プラスチックから作られたPPフィルムの登場により、加工された印刷物であっても、地中に埋めることにより紙と一緒に分解されるようになるのです。

また、印刷用紙自体をグリーン・プラスチックで作った製品も開発されました。
耐水性、耐光性に優れているため、厳しい条件に晒される屋外掲示用のポスターなどの使用に有効です。
従来の石油系合成紙に代わり環境に貢献できる紙として、印刷業界のニーズにも合致した製品です。

グリーン・プラスチックは、これからもなお発展が期待される製品です。

印刷以外の分野でも採用する気運が高まり、一般市場で目にする機会も増えることでしょう。

業種の枠を越えたキーワードとして、期待の新素材の動向を見守って行きたいものです。

「vol.20 「進化したプラスチック」の役割。」のPDF版はこちら