Vol.129印刷キーワード:ピンホール 見当ずれ グロスゴースト

“ベタ”な話ですが、こんな印刷が実はむずかしい。

絵柄や大きさに関係なく、塗りつぶしの印刷。

色鮮やかなカタログや雑誌の数々。見ているだけでも楽しくなりますね。

効果的にデザインされた印刷表現が、私たちの想像力をふくらませてくれます。

さて今回は、そんな印刷表現のなかでも、よく見かける割に技術的にむずかしい“ベタ印刷”にスポットを当ててみます。

“ベタ”な話ですが、こんな印刷が実はむずかしい。

活版印刷の始まりは、グーテンベルグの42行聖書。白地に黒々と、ブラックレター*で印刷されています。ここからもわかるように、印刷は白い紙の上に文字を印刷することから始まっています。

インキで白地を塗りつぶす“ベタ印刷”は、そういったもともとの使われ方とは対極にあり、白地とインキの面積が完全に逆転しているわけです。

当然、苦手な分野になります。今はオフセット主流の印刷になってベタ印刷もやりやすくなってはいますが、それでもそれなりにむずかしさがあります。そんな、“ベタ印刷”にまつわるお話です。
*アルファベット書体のひとつ

通常の印刷/ベタ印刷

ピンホール

ご存じのように現在のオフセットカラー印刷はYMCKの4色刷が基本です。
そのうち黒(墨・K)のインキだけをベタ刷りすることで、階調のない黒のベタを表現することができます(墨ベタ)。
この場合は用紙に付着した紙粉等が要因となって、ベタ部分にピンホール(点状の白抜け部分)が発生することがあります。これはページ全面など、広い面積でベタ印刷をする場合は避けられない現象とさえいえます。

ピンホール

リッチブラックの白抜き見当ずれ

ピンホールを防ぐためには、カラー4色の掛け合わせのベタ刷(リッチブラック:たとえばY40%M40%C40%K100%)が使われます。
仮に1色の印刷でピンホールが発生しても、他の3色が刷り重ねられることで見た目には気になりません。
また墨ベタよりも美しく、艶・濃度のある黒に仕上げることができます。ただし細い罫や小さな文字を白抜きであしらうと、用紙の伸び等による見当ずれにより、くっきりと白く見えずに色浮きを起こして見えることがあり、デザイン上で配慮が必要です。

リッチブラックの白抜き見当ずれ

グロスゴースト

先に印刷した絵柄面のインキが用紙に浸透し、空気中の酸素を吸収して乾燥する際にガスが発生します。
このガスによって、後刷りした反対面のインキの乾燥が促進され、インキの光沢が高まる現象をグロスゴーストと言います。
後刷りした面にベタに近い絵柄があると、反対面の絵柄が印刷面の光沢ムラとなって現れます。
対策として事前に表裏の絵柄を検討してベタ系の絵柄面を先行して印刷するようにします。

グロスゴースト

『日本のカレンダーのように…』。海外の人たちが、日本の優れた印刷技術をほめるときに使う言葉です。紙とインキと水をコントロールするオフセット印刷。品質の陰に、知られざる技術の戦いがありました。

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