Vol.09制作キーワード: DTP

DTPが変えたもの。変わらなかったもの。

こんにちの印刷はDTP抜きには語れません。職人的な手作業から、デジタルの世界へ。
印刷の前工程を劇的に変えたこのDTPの歴史を振り返ります。

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デスクトップ・パブリッシング。
そう聞いても、いまひとつピンとこないかもしれませんが、
DTPという言葉なら耳にしたことがあるでしょう。

DTPとはDeskTop Publishingを略した言葉です。

今や印刷・出版業界では当たり前になったDTP。

文字の入力、レイアウト、イラストや写真のはめ込みといった
作業をパソコンのモニター上で行うことをいいます。

その登場は1985年のことでした。

かつては、写植から版下、版下から製版というプロセスを手作業で
行い、印刷の元になるフィルムを作成していたものが、

DTPによって1台のパソコン上でできるようになったわけですから、印刷業界が受けたインパクトは大変なものがありました。

そして、デザイン・印刷のワークフローをデジタルの世界にシフト
させたDTPは、高性能なOSやソフト、プリンターの普及とともに、またたく間に浸透していったのです。

登場から30年を経たいま、DTPのテリトリーは印刷・出版業界の
プロユースだけでなく、

オフィスでの文書の作成、さらには一般の人が趣味で活用するところまで拡がっています。

プロとアマの境界線を消した、ともいわれるDTP。

確かに、プロにゆだねるしかなかった印刷の仕上がりのイメージを、誰もが手軽にモニター上でプレビューできるようにはなりました。

しかし現実として、印刷の原理やプロセスを熟知してない人の手で
作成されたデータはトラブルが発生しやすく、また印刷のクオリティという意味で不完全であることも珍しくありません。

つまり、DTPによって印刷の前段階のワークフローは著しく合理化
されましたが、

そこには専門知識がなくても「ある程度」形になってしまうという側面があり、それがDTPの直面する課題となっているというわけです。

DTP登場以前は、写植や版下といった工程を、
それぞれのプロフェッショナルが担っていました。

いかにして文字を美しく読みやすくするかという、いわゆる
「組版ルール」などをひとりひとりが熟知していたわけです。

こうした独自のノウハウまでは、いかに優れたコンピュータや
アプリケーションでもフォローできません。

表面的には、DTPによってプロとアマの境界線がなくなったようにも感じられますが、

実際のところ、いまDTPに携わる人たちには、より一層のプロフェッショナリズムと幅広い知識が求められるようになっているのです。

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